2003 N.H.R.A 最終戦ポモナ 波乱のレースレポート!
さあ今年も全23戦の締めくくりNHRA全米ドラッグレースシリーズ最終戦「POMONA」の季節がやって来た。Sakky’s Racingの“本場でお勉強ツアー”一行はバカみたいに早朝から現地入りし今年最後のレースを満喫した。今年のポモナは曇り空ではあったが風も穏やかで昨年よりは少し暖かく感じられた。それでは今年の最終戦レポートをお届けしよう。
王者ジョン・フォースが「ラウンド2」でまさかのファール、赤ランプ点灯で敗退!セミファイナルにはデル・ウォーシャム(CheckerSchucksKragen)vsティム・ウィルカーソン(L.R.S)、コリー・リー(Artisan T2)vsゲィリー・セルジー(Oakley)という顔ぶれが揃う。この日4.7秒台で絶好調のデル・ウォーシャムとコリー・リーがファイナルへと勝ち進んだ。久しぶりにマスタング軍団(Team Castrol)不在のファイナルはファイヤーバード2台による戦いとなったが、本命のデル・ウォーシャムが痛恨のファール!だがこの直後にコリーがコントロールを失いセンターラインをオーバーで失格!場内は勝者が解からず騒然となるが後の公式発表でデル・ウォーシャムが勝者となった。レースは何が起こるか解からない勝負は最後まで諦めてはいけない。
昨年この最終戦で引退したケニー・バーンシュタインは、息子のブランドンがシリーズ第8戦EnglishTownでの大クラッシュにより首を痛め出場不可能となったために、再びステアリングを握り後半戦を戦う事になった。ベスト8が揃う「ラウンド2」では、昨年のポモナ戦ファイナルでHarry’s大山選手を破り優勝したコリー・マクレナザン(N.Y.Yankees)とT/F歴30年と言う恐ろしいキャリヤを持つDragRace界の黒柳徹子こと我らがシャーリー・マルドゥーニーおばさん(MAC Tools)の戦いで幕を開けた!“シャーリーママ”は惜しくもここで敗れたが4,707secの豪快な走りには驚かされるばかりである。
結果、セミファイナルにはケニー・バーンシュタインvsコリー・マクレナザン、スコット・カリッタvsトニー・シューマッハの4人が勝ち進み、ファイナル進出を決めたのはケニー・バーンシュタイン(BudweiserKing)と“ウエストコーストチョッパーズ”カラーが新鮮なスコット・カリッタ(JeseeJames)であった。スタンド総立ちのファイナル、スタート直後にスコットがスモークするが直後にケニーのエンジンがブロー!共にリカバリー合戦となったが火を吹いたエンジンを何とかリカバリーしゴールしたケニー・バーンシュタインが優勝した!ケニーの終盤戦のシカゴ、ダラス、ラスベガス、ポモナを4連勝で飾り、まさにパーフェクトな助っ人ぶりを見せつけた。
カート・ジョンソン(AC Delco)vsマイク・エドワーズ(YoungLife)、そしてグレッグ・アンダーソン(VegasGeneralConstr)vsブルース・アレン(Reher-Morrison)とお決まりの顔ぶれで迎えたセミファイナルは全車100分の5秒ほどのタイム差しかなく大激戦となったが、カート・ジョンソンとグレッグ・アンダーソンが抜け出しファイナルへと進む。結果はグレッグ・アンダーソン(VegasGeneralConstr)がファイナル進出50回目、27勝目の優勝を飾った。
誰もが個人的に応援するアンジェラ・サボァーイ嬢(US Army)vsマイケル・フィリップス(MB Precision)とクライン・トレブル(Matco Tools)vsマイク・ベリー(MB Precision)と今回はハーレーV-RODの姿は無く、全車スズキのマシンでのセミファイナルとなった。
結果はラウンド1、ラウンド2ともに対戦相手をファールスタートに追い込み勝ち上がって来たアンジェラが最後に自らが痛恨のファール!土壇場で逃がした優勝トロフィーはクライン・トレブル(Matco Tools)が手にした。コレだからレースは面白い!R/Tは0.011sec対-0.013sec(R)と両者気合の入ったスタートであった事に違いは無い。
各クラスのファイナルでことごとく思わぬドラマが起きた今回のポモナ戦。もう見れないはずだったのキング・ケニーの走り、きっと見れるはずだった?ジョン・フォースの姿と複雑な思いが残るが、波乱に富んだ観る者にはとても楽しいレースであった。この後トップチームの面々は僅かなクリマス休暇を家族と過ごし、2004年ツアーへと旅立って行く。1年を通して2週間に1回レースがありその合間にはテストや練習に励み全23戦を全米各地で戦い移動し消化する。NHRAのトップドラッグレーシングチームは恐ろしくハードな仕事であり驚くべきタフな人々である。